キヤノン(7751)の決算資料をまとめてみた。

4月23日(木)発表のキヤノン(7751)の決算資料を1~2分で読めるようにまとめてみました。
早速損益計算書から見ていきましょう。

損益計算書

当四半期の売上高は、前年同期比 9.5%減の7,823億円。
売上総利益率は、前年同期を0.6ポイント上回る45.8%。
営業費用は為替の影響に加え、生産性の向上と選択と集中を一層進めた結果、前年同期比6.9%減の3,258億円
営業利益は前年同期比18.7%減の329億円
営業外収益及び費用は有価証券評価損などにより、前年同期比で41億円悪化し、税引前四半期純利益は前年同期比25.2%減の345億円。
当社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比30.0%減の219 億円。
基本的1株当たり当社株主に帰属する四半期純利益は、前年同期に比べ8円31銭減の20円69銭。

セグメント別損益計算書

オフィスビジネスユニットでは、オフィス向け複合機は、新型コロナウイルスの感染拡大によるオフィスの閉鎖などにより、商談や設置の遅れが発生したため販売台数は前年同期から減少。一方、プロダクション市場向けは、コンパクトかつ高速・大量印刷を可能にした新製品imagePRESS C165が好評を博し、販売台数を伸ばした。レーザープリンターは、省電力・小型化に加えて高い生産性を追求した新製品が牽引したが、景気の減速が続いた中国において低速機の販売が減少したことや、新型コロナウイルスによる生産への影響もあり、本体の販売台数は前年同期を下回った。また、消耗品についても世界的な景気減速の影響もあり減収。これらの結果、当ユニットの売上高は、前年同期比9.4%減の3,976億円。しかしながら、経費の削減を進め税引前四半期純利益は前年同期比2.4%増の473億円

イメージングシステムビジネスユニットでは、レンズ交換式デジタルカメラは、消費税増税後の国内市場の落ち込みに加えて、各国における新型コロナウイルスによるサプライチェーンや販売活動への影響もあり、販売台数は前年同期を下回った。インクジェットプリンターは、新興国では景気減速の影響を受けて販売台数は前年同期を下回ったが、先進国と中国では在宅勤務とオンライン授業による需要増で販売を伸ばし、全体の販売台数は前年同期を上回った。
これらの結果、当ユニットの売上高は、前年同期比13.9%減の1,517億円となり、税引前四半期純利益は前年同期比81.6%減の9億円

メディカルシステムビジネスユニットでは、X線診断装置やそのコンポーネントの販売は伸びたが、新型コロナウイルスにより学会や展示会が中止となり商談の機会が減少。また、欧米を中心に3月以降立ち入り規制が強化され、医療機関への設置の延期や営業活動の制限も発生したことにより、当ユニットの売上高は前年同期比3.0%減の1,061億円となり、税引前四半期純利益は前年同期比36.8%減の41億円

産業機器その他ビジネスユニットでは、半導体露光装置は、メモリー向けの投資は調整局面が続きましたが、IoT関連の半導体デバイス向け投資は堅調に推移し、販売台数は前年同期を上回った。一方、FPD露光装置については、スマートフォンの需要が伸び悩み中小型パネルへの投資の抑制が継続するとともに、大型パネル向けでは新型コロナウイルスの影響により設置の延期が発生し、販売台数は前年同期を下回った。しかしながら、ネットワークカメラについては、用途の多様化と更新需要を背景に市場の拡大が継続し、アクシス社が伸長するとともに、関連するソフトウェアの販売も寄与して増収。
これらの結果、当ユニットの売上高は、前年同期比9.8%減の1,471億円となり、税引前四半期純利益は前年同期比 28.4%減の41億円

営業利益増減要因(1Q前年比)
1Qキャッシュフロー

営業キャッシュフロー
当四半期の営業キャッシュ・フローは、減益となったものの運転資金の改善により、前年同期比で25 億円増加し、633 億円の収入

投資キャッシュフロー
投資キャッシュ・フローは、生産設備への投資が減少したことなどにより、前年同期から80億円減少し、436億円の支出となりました。
この結果、フリーキャッシュ・フローは、前年同期比で105億円増加し、197億円の収入

財務キャッシュフロー
財務キャッシュ・フローは、配当金の支払いや自己株式の取得があったが、短期借入金の増加などもあり、136 億円の収入
これらの結果、当四半期末の現金及び現金同等物は、為替変動の影響分を合わせて、前期末から 271 億円増加し、4,399 億円

次に今後の見通しについてみていきます。

「新型コロナウイルスの感染拡大により、世界的に外出や移動が制限される中、消費や企業の経済活動が停滞する状況が続いています。現時点では収束時期の見通しは立っておらず、業績予想の合理的な算定は困難であることから、2020 年 12 月期の業績予想を未定とさせていただきます。今後、業績予想の算定が可能になった時点で、速やかに公表いたします。」(決算短信原文まま)

決算資料を読む限り、コロナの影響がかなり色濃く出た決算となりました。キヤノンはかなりコストの削減に力を入れておりましたが、それでも利益が大幅に減ってしまうほどのインパクトに襲われました。

しかしながら、キャッシュフローを見ると営業キャッシュフロー及び財務キャッシュフローでは前年よりキャッシュを獲得できており、投資キャッシュフローも抑制されています。
前年よりかなり筋肉質な業績企業となりました。

今後配当金の減配等はあるかもしれませんが、コロナが1年程度で収束するならば、それまでの間耐え抜くだけの体力は十分にありそうです。

減益の数字だけを見れば大幅に売られる可能性はありますが、大きく下げたならば、買いのチャンスが来たと思って投資するのも一考かもしれません。

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