アダストリア(2685)の決算資料をまとめてみた

4月3日発表のアダストリア(2685)の決算資料を1~2分で読めるようにまとめてみました。
早速損益計算書から見ていきましょう。

当連結会計年度の連結業績は、
売上高が2,223億76百万円(前年同期比0.1%減)
営業利益が128億85百万円(前年同期比79.2%増)
経常利益が128億43百万円(前年同期比74.8%増)
親会社株主に帰属する当期純利益が63億63百万円(前年同期比63.6%増)
EBITDAは203億57百万円(前年同期比32.9%増)
のれん償却前EPSは138.63円(前年同期比25.5%増)

販売費及び一般管理費については、販促費用の抑制や、不採算店舗の削減に伴う家賃の減少、及び株式会社トリニティアーツ(現当社)の連結子会社化に伴うのれんの償却が前第2四半期で終了したことなどから、前年同期比で23億33百万円減少
その結果、販管費率は49.7%(前年同期比1.0ポイント減)となり、営業利益率は5.8%(前年同期比2.6ポイント増)
特別損益につきましては、特別損失として、店舗の減損損失13億3百万円のほか、システム開発計画の変更によって今後の利用が見込めなくなったソフトウェアの減損損失15億11百万円などを計上。

次に財政状態についてみていきましょう。

資産の部
流動資産は、前連結会計年度末に比べて、51億84百万円増加して532億34百万円。これは主に、たな卸資産が25億83百万円減少した一方で、現金及び預金が77億36百万円、受取手形及び売掛金が1億74百万円それぞれ増加したことによるもの。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて、14億76百万円増加して446億89百万円。これは主に、店舗内装設備(純額)が8億76百万円、投資有価証券が5億86百万円、敷金及び保証金が9億87百万円それぞれ減少した一方で、有形固定資産のその他(純額)(IFRS第16号を適用したことによる使用権資産など)が29億28百万円、 繰延税金資産が6億95百万円それぞれ増加したことによるもの。

負債の部
流動負債は、前連結会計年度末に比べて、6億33百万円増加して374億62百万円。これは主に、支払手形及び買掛金が13億67百万円、短期借入金が25億52百万円それぞれ減少した一方で、リース債務が11億19百万円、未払金が17億96百万円、未払法人税等が17億54百万円それぞれ増加したことによるもの。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて、19億46百万円増加して34億21百万円。これは主に、リ ース債務が20億93百万円増加したことによるもの。

純資産の部
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて、40億81百万円増加して570億41百万円。これは主に、利益剰余金が36億9百万円増加したことによるもの。

次にキャッシュフローについてみていきます。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前年同期に比べて、77億29百万円増加して263億77百万円

営業キャッシュフロー
営業活動の結果得られた資金は、208億50百万円(前年同期比109億45百万円増)。これは主に、仕入債務の減少が19億73百万円、法人税等の支払額が28億80百万円それぞれあった一方で、税金等調整前当期純利益が99億23百万円、減価償却費が75億99百万円、減損損失が28億15百万円、たな卸資産の減少が25億46百万円それぞれあったことによるもの。

投資キャッシュフロー
投資活動の結果使用した資金は、66億45百万円(前年同期比20億40百万円減)。これは主に、敷金及び保証金の回収による収入が11億78百万円あった一方で、有形固定資産の取得による支出が40億70百万円、無形固定資産の取得による支出が32億84百万円それぞれあったことによるもの。

財務キャッシュフロー
財務活動の結果使用した資金は、64億39百万円(前年同期比45億48百万円増)。これは主に、短期借入金の減少が25億5百万円、配当金の支払額が26億20百万円、リース債務の返済による支出が13億9百万円それぞれあったことによるもの。

店舗展開については、55店舗の出店(内、海外9店舗)、90店舗の退店(内、海外17店舗)の結果、当連結会計年度末における当社グループの店舗数は、1,392店舗(内、海外77店舗)

次に今後の見通しについてみていきます。

わが国の企業業績は、堅調な消費・投資需要を受けて比較的底堅く推移してきたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う世界経済の大幅な減速により、足元低迷している消費需要が回復するには今後一定の期間を要するものと考えている。特に、国内インバウンド需要の低迷や、外出自粛による消費マインドの低下、商業施設の営業時間短縮などが、来店客数延いては売上に影響する状況が続いている。このような状況等を踏まえ、現段階では、業績に与える影響に未確定要因が多いことから、2021年2月期の連結業績予想につきましては、 合理的に算定することが困難と判断し、未定としております。今後、業績予想の算定が可能となった段階で、速やかに公表予定。 一方、中長期的には、経済活動の正常化とともに、各国の金融緩和や景気対策による緩やかな消費回復が期待されるが、構造的な需要減少や雇用・所得環境の悪化は依然として懸念要因であり、当社を取り巻く経営環境は引き続き厳しい状況が続くものと思われる

最後に株主還元についてみていきましょう。

利益配分につきましては、顧客としても株主としても満足していただけるよう、魅力あるブランドの開発、商品の提供に必要な事業への投資を行い、一層の企業価値(株主価値)の向上を図っていくと共に、株主の皆様への還元について、配当はのれん償却前連結配当性向30%を基本方針に実施。また、自己株式の取得については、株主の皆様に対する利益還元のひとつと考えており、今後も株価の動向や財務状況等を考慮しながら適切且つ機動的に対応していく方針です。
上記基本方針に沿って、当期期末配当金については期初予想通り1株当たり25円、年間配当は50円。のれん償却前連結配当性向は36.1%
なお、翌連結会計年度の配当につきましては、現段階では未定とし、業績予想の開示が可能となった段階で、配当予想を速やかに公表。

決算資料を読んだ限りでは、良い決算のように見えます。前年比では業績を大きく伸ばし、会社業績予想を7%上回って着地いたしました。
しかしながら、これは、第3Qまでの業績でかなり貯金があったためで、第4Qにおいては経常利益を1000百万円弱しか上積みできませんでした
アパレルにおいて冬季が最も業績を伸ばせる時期であるため、今回の第4Qの推移は異常とも呼べる業績です。
消費増税・暖冬・コロナウイルスと、逆風をもろに受けた形となりました。

今後の業績についても未定としており、コロナウイルスによる影響が計り知れないものであることを思い知らされる決算発表となりました。

アダストリアに限らず、アパレル業界各社は生き残りをかけ、大きな岐路に立たされることになりそうです。

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