ニコン(7731)の決算資料をまとめてみた。
5月28日発表のニコン(7731)の決算資料を1~2分で読めるようにまとめてみました。
まずは、損益計算書から見ていきます。
当社グループの連結業績は、
売上収益は5,910億12百万円、前期比1,176億48百万円(16.6
%)の減収
営業利益は67億51百万円、前期比759億2百万円(91.8%)の減益
税引前利益は118億64百万円、前期比760億51百万円(86.5%)の減益
親会社の所有者に帰属する当期利益は76億93百万円、前期比588億20百万円(88.4%)の減益
では、セグメント別に見ていきます。
[映像事業]
レンズ交換式デジタルカメラは、小型・軽量で高性能なミラーレスカメラ「Z 50」や、高い性能と多彩な機能を搭載したデジタル一眼レフカメラ「D780」を発売するとともに、ミラーレスカメラ用交換レンズを拡充させ、プロ・趣味層向け中高級機の拡販に努めた。
コンパクトデジタルカメラは、光学83倍ズームを搭載した「COOLPIX P950」を発売し、高付加価値製品の販売に注力。
しかしながら、市場の縮小傾向に加えて新型コロナウイルス感染症拡大による需要減退や新製品発売延期の影響により、販売台数は減少。
これらの結果、当事業の売上収益は2,258億94百万円、前期比23.7%減となり、構造改革関連費用や固定資産の減損損失を計上したこともあり、営業損失は171億53百万円(前期は220億69百万円の営業利益)。
[精機事業]
FPD露光装置分野では、第10.5世代プレートサイズ対応装置の販売は堅調であったものの、全体としては販売台数が減少。また、新型コロナウイルス感染症拡大により一部装置の販売が次期に繰り延べになったこともあり、大幅な減収減益。
半導体露光装置分野では、ArF液浸スキャナーやArFスキャナーの販売台数が増加し、増収増益。
これらの結果、当事業の売上収益は2,397億28百万円、前期比12.7%減、営業利益は467億74百万円、前期比42.8%減。
[ヘルスケア事業]
バイオサイエンス分野では、生物顕微鏡の販売増加に向けて、眼科診断分野では、超広角走査型レーザー検眼鏡の販売増加に向けて、それぞれ堅調に推移していたものの、いずれの分野も新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて急減速し、減収。
これらの結果、当事業の売上収益は620億24百万円、前期比5.2%減となり、経費抑制等によって損失の最小化に努めたものの、赤字幅は拡大し、営業損失は24億55百万円(前期は19億37百万円の営業損失)。
[産業機器・その他]
産業機器事業では、中国等アジアを中心に市況が低調に推移したことに加え、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴う投資抑制により減収。経費抑制等により収益性を改善したが、のれんの減損等により減益。
カスタムプロダクツ事業では、固体レーザーと光学部品が増収。
ガラス事業では、FPDフォトマスク基板の拡販を進めたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により市況が悪化し、減収。
この結果、これらの事業等の売上収益は633億66百万円、前期比12.6%減、営業利益は31億85百万円、前期比54.1%減。
次に財政状態についてみていきます。
当連結会計年度末における資産の残高は、前連結会計年度末に比べて1,291億4百万円減少し、1兆58億81百万円。これは主に、現金及び現金同等物が870億21百万円、売上債権及びその他の債権が280億68百万円減少したため。
当連結会計年度末における負債の残高は、前連結会計年度末に比べて541億38百万円減少し、4,641億21百万円。これは主に、仕入債務及びその他の債務が276億38百万円、前受金が169億68百万円減少したため。
当連結会計年度末における資本の残高は、前連結会計年度末に比べて749億66百万円減少し、5,417億60百万円。これは主に、自己株式を400億2百万円取得、在外活動営業体の換算差額の減少や保有する株式の時価下落等によりその他の資本の構成要素が195億10百万円減少し、さらには、利益剰余金が、主に剰余金の配当処分により161億8百万円減少したため。なお、当連結会計年度末において自己株式352億79百万円を消却。
次にキャッシュフローについてみていきます。
営業キャッシュフロー
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税引前利益118億64百万円、減価償却費及び償却費341億5百万円の計上に加え、特許訴訟和解金の受取があった一方、仕入債務及びその他の債務の減少、前受金の減少、法人所得税の支払により、164億19百万円の収入(前年同期は689億1百万円の収入)。
投資キャッシュフロー
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却による収入が45億5百万円、投資有価証券の売却による収入が58億70百万円あった一方、有形固定資産、無形資産、投資有価証券の取得による支出により212億81百万円の支出(前年同期は253億4百万円の支出)。
財務キャッシュフロー
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払、自己株式の取得による支出により727億39百万円の支出(前年同期は215億83百万円の支出)。
また、現金及び現金同等物に係る換算差額は94億21百万円の減少。
この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末に比べ870億21百万円減少し、3,240億34百万円となりました。
次に配当についてみていきます。
当社の利益配分は将来の成長に向けた事業・技術開発への投資(設備投資・開発投資)を拡大することで競争力強化に努めるともに、株主重視の観点から安定的な配当を行うことを基本とし、同時に柔軟な株主還元政策により中長期的な視点に基づく最適な資本配分を実現する方針。この方針に基づき、2020年3月期から2022年3月期までの現中期経営計画期間累計の総還元性向を40%以上とすることを目標として株主の皆様へ利益還元を行う。
2020年3月期は、期末配当金は1株当たり10円とさせて頂き、年間配当金は中間配当金の30円と合わせて1株当たり40円とする予定であります。なお、次期の年間配当金については未定であります。
次に今後の見通しについてみていきます。
2021年3月期の連結業績予想につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、現時点では合理的な算定が困難であるため、未定とさせていただきます。
今後、連結業績予想の算定が可能となった時点で速やかに開示します。(決算短信原文まま)
決算資料を読む限り、コロナウイルスによる影響を大きく受けた結果となったようです。
前期に比べ、営業利益が90%以上減少してしまいました。
また、営業キャッシュフローは前期に比べ500億円以上減少し、フリーキャッシュフローはマイナスとなってしまいました。
ただ、現金等が3000億円以上あることから、事業の継続性には問題なく、また配当についても減配はあり得ても無配はないと思われます。
あとは、市場がこの決算内容で悪材料出尽くしと捉えるかが焦点になりそうです。
明日以降数日は株価がどちらに振れるか注視した方が良さそうですね。
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