エスクリ(2196)の決算資料をまとめてみた。

5月29日発表のエスクリ(2196)の決算資料を1~2分で読めるようにまとめてみました。
まずは損益計算書から見ていきます。

当連結会計年度におけるわが国経済は、前半については雇用環境の改善を背景として概ね緩やかな回復基調で推移しました。個人消費についても緩やかな持ち直しが続いていたものの、消費税率引き上げ後に駆け込み需要の反動による落ち込みがみられたことに加え、新型コロナウイルス感染症が内外経済に与える影響などにより、先行きは非常に不透明な状況といえます。
当社グループは、施設のスタイルにこだわらず、東京23区および政令指定都市を中心とした利便性の高い場所で挙式・披露宴施設を運営する当社の他、地方などの新たな地域でブライダル事業を運営する株式会社エスクリマネジメントパートナーズ、並びにグループ内における挙式・披露宴施設等の内装工事を請け負う株式会社渋谷を主軸にグループ経営を推進する体制を強化し、連結業績の最大化に向け継続して取り組んでおります。
当連結会計年度における当社グループは、主たる事業であるブライダル関連事業において、新規開業した施設が業績に貢献いたしましたが、その一方で、新型コロナウイルスの感染リスク拡大により、多数の挙式披露宴が翌年度以降に延期となりました。また、事業規模から挙式披露宴に比べて影響は少ないものの、一般宴会、レストラン、ホテルにつきましても、例年に比べて稼働が著しく低下しました。
この結果、当社グループの主力事業であるブライダル関連事業の売上高が大幅に減少し、当連結会計年度の業績は、
売上高31,430百万円(前期比5.6%減)
営業利益1,546百万円(同29.4%減)
経常利益1,499百万円(同29.4%減)
親会社株主に帰属する当期純利益455百万円(同57.7%減)

では、セグメント別に見ていきます。

セグメント別の売上高
ブライダル関連事業

ブライダル関連事業
前連結会計年度に開業した広島市および渋谷区の2施設が通期稼働し、業績に貢献。一方で、新型コロナウイルスの感染リスク拡大により2月下旬から3月中に予定されていた挙式披露宴約1,000件のうち、400件余りが翌年度以降に延期
その結果、ブライダル関連事業の売上高は28,115百万円(前期比1.9%減)、セグメント利益は2,480百万円(同17.8%減)

建築不動産関連事業

建築不動産関連事業
前連結会計年度には大型の不動産リノベーション物件の販売があったため、減収
その結果、建築不動産関連事業の売上高は3,314百万円(前期比28.4%減)、セグメント利益は135百万円(同52.1%減)

次に財政状態についてみていきます。

賃借対照表

当連結会計年度末における資産総額は23,228百万円となり、前連結会計年度より1,885百万円減少。
これは主に、現金及び預金が683百万円減少したこと、受取手形及び売掛金が34百万円減少したこと、完成工事未収入金が172百万円減少したこと、未成工事支出金が93百万円減少したこと等によるもの。

負債総額は15,749百万円となり、前連結会計年度より2,048百万円減少。これは主に、1年内返済予定を含む長期借入金が2,194百万円減少したこと等によるもの。

純資産は7,478百万円となり、前連結会計年度より162百万円増加。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益455百万円を計上したこと、配当を165百万円実施したこと等によるもの。

次にキャッシュフローについてみていきます。

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は3,934百万円となり、前連結会計年度より634百万円減少。各キャッシュ・フローの状況は次のとおり。

営業キャッシュ・フロー
営業活動により得られた資金は2,918百万円(前連結会計年度は3,164百万円の収入)。その主な内訳は税金等調整前当期純利益749百万円、減価償却費1,572百万円、売上債権の減少額207百万円、仕入債務の減少額430百万円、前受金の増加額681百万円、法人税等の支払額725百万円があったこと等によるもの。

投資キャッシュ・フロー
投資活動により支出した資金は1,203百万円(前連結会計年度は831百万円の支出)。その主な内訳は有形固定資産の取得による支出1,021百万円、事業譲受による支出100百万円があったこと等によるもの。

財務キャッシュ・フロー
財務活動により支出した資金は2,347百万円(前連結会計年度は2,341百万円の支出)。その主な内訳は短期借入金の純増額300百万円、長期借入れによる収入400百万円、長期借入金の返済による支出2,594百万円、配当金の支払による支出165百万円があったこと等によるもの。

次に今後の見通しについてみていきます。

配当予想

当社グループの事業を取り巻く環境は不透明な状況が続くと予想されますが、グループとしての力を一層発揮するための体制、仕組み作りをすすめてまいります。
次期の連結業績の見通しにつきましては、臨時休業による受注の減少、2022年3月期への日程変更等の影響により、営業損益、経常損益、親会社株主に帰属する当期純損益のいずれも赤字となる見込みであります。尚、次期の業績に与える影響額につきましては、緊急事態宣言が解除されたものの、新型コロナウイルス感染症の収束時期が見通せないなか合理的に算定することは困難であると判断し、現段階では未定としております。今後、業績予想の算定が可能となった段階で速やかに開示いたします。(決算短信原文まま)

決算資料を読む限り、相当厳しい結果となったようです。
売上高こそ前期比−5.6%減で収まりましたが、営業利益は−29.4%、純利益は−57.7%となりました。

また、次期の見通しについては利益が赤字になることを想定していることから、配当については減配は避けられず、無配になる可能性もあります
2~3月の「挙式披露宴約1,000件のうち、400件余りが翌年度以降に延期」と決算短信に記載がありましたが、キャンセルや規模縮小の可能性が大いにあり、ただ単に挙式披露宴の日程がスライドしただけとは考えにくい状況です。

次期については、自己資本比率が32.2%であることから、財務キャッシュフローを充実させ、現金及び現金同等物を増やし、この危機を乗り切る対策をしなければ、業績次第では経営が傾く可能性が今後出てくる可能性があります。

ただでさえブライダル市場が緩やかに縮小している中、ウィズコロナとどうやって向き合っていくか、経営手腕が試される展開となるかもしれません。

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