プレミアグループ(7199)の決算資料をまとめてみた。
5月29日発表のプレミアグループ(7199)の決算資料を1~2分で読めるようにまとめてみました。
前回の決算内容についてはこちらを参照ください。
まずは損益計算書から見ていきます。
当事業年度(2019年4月1日から2020年3月31日まで)におけるわが国経済は、企業収益が高い水準で推移するなか、雇用・所得環境の改善傾向が持続し、緩やかな景気回復が続きました。消費税増税に伴う駆け込み需要の盛り上がりも限定的であり、2014年の増税時のような大幅な反動減は生じませんでした。一方、海外におきましては、米中貿易摩擦問題の長期化や欧州経済の減速などにより先行きの不透明な状況が続いております。また、新型コロナウイルス感染拡大による世界的な株安の影響から持分法適用関連会社であるEastern Commercial Leasingp.l.c.(以下、ECL)の株価が2020年3月に一時的に暴落し871,107千円の減損損失を計上いたしました。なお、ECLの業績は堅調に推移し、利益も継続的に計上しておりますが、新型コロナウイルス感染拡大によるタイ王国のロックダウンにより業績が一時的に低迷したこと、また今後の業績への影響が不透明なことから、先述のとおり減損損失を計上いたしました。なお、国内事業につきましては、日本国内における流行が2020年3月以降であったため、当事業年度における新型コロナウイルス感染症による影響は僅少と考えております。
当社グループの主要ターゲットである中古車市場につきましては、2019年4月から2020年3月までの国内普通乗用車の中古車登録台数は3,334,075台(前事業年度比0.9%減)とほぼ前年並みの市場規模となっております。(出典:一般社団法人日本自動車販売協会連合会統計データ)(決算短信原文まま)
では、セグメント別に見ていきます。
クレジット事業は、良好な調達環境の継続に加え、営業人員の増員及び営業スキルの向上施策の継続的な実施等を背景に、加盟店契約を締結した中古車小売店とのきめ細かな関係構築を通じ稼働率を向上。また営業拠点の増床・新規出店を行い、未アプローチの販路を開拓した結果、営業収益は9,647,696千円(前連結会計年度比19.2%増)。
またクレジット事業(立替払方式・提携ローン方式)においては、貸倒リスクをヘッジするため、複数の損害保険会社と取引信用保険及び保証機関型信用保険を締結し、信用補完を行っている。
従前は、信用保険によって補填を受けることがほぼ確実と見込まれる金額の識別が困難だったため、信用保険による補填を別個の資産として計上していなかったが、信用保険契約の変更及び社内管理体制の強化等を進めた結果、当連結会計年度より信用保険によって補填を受けることがほぼ確実と見込まれる金額を「保険資産」として計上。その結果、当連結会計年度にその他の収益として2,080,841千円を計上。
故障保証事業は、中古輸入車を主とする故障保証事業を展開するEGS株式会社を2019年4月に子会社化したことに加え、当社グループのブランド商品「プレミアの故障保証」の商品改定により取扱いが伸長していること、及びラジオ広告等のマーケティング施策による認知度の漸増により、営業収益は3,661,080千円(前連結会計年度比52.8%増)。
その他事業は、自動車鈑金・塗装設備を増設したことによる入庫数の増加に加え、2018年10月に子会社化した株式会社ソフトプランナーのソフトウェア販売の収益化により、営業収益は707,108千円(前連結会計年度比262.8%増)。また、海外事業において、先述したコロナ禍に伴う世界的株安の影響からECLの株価が一時的に暴落し減損損失を計上したことに加え、タイ国内において米中貿易摩擦問題を受けた景気減速や、自動車ローンの引き締め等による経済環境の悪化から新車販売が落ち込んだことに伴い、持分法による投資損失が843,567千円。
一方、費用面につきましては、人員増加、クレジット事業及び故障保証事業の拡大に係る各種費用が増加したことに加え、子会社の株式取得に関する費用等の増加に伴い、費用合計は13,528,024千円(前連結会計年度比34.8%増)。
以上の結果、
営業収益は14,015,883千円(前連結会計年度比30.3%増)
当連結会計年度の税引前利益は2,603,695千円(前連結会計年度比24.2%増)
親会社の所有者に帰属する当期利益は1,465,708千円(前連結会計年度比5.6%増)
次に財政状態についてみていきます。
資産
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ14,663,550千円増加し、58,203,414千円。これは主に、金融債権が5,264,290千円、その他の金融資産が3,115,035千円増加したこと等によるもの
負債
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ14,880,223千円増加し、52,890,993千円。これは主に、金融保証契約が4,977,097千円、借入金が5,784,094千円増加したこと等によるもの。
資本
当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べ216,673千円減少し、5,312,421千円。これは主に、自己株式の取得により1,199,928千円減少し、利益剰余金を原資とした配当により571,202千円減少したこと等によるもの。親会社の所有者に帰属する持分合計は前連結会計年度末に比べ221,254千円減少し、5,242,417千円。
次にキャッシュフローについてみていきます。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ99,559千円増加し、6,285,647千円。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおり。
営業キャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動の結果、使用した資金は1,246,060千円(前連結会計年度は1,014,777千円の支出)。収入の主な内訳は、金融保証契約の増加額4,977,097千円、税引前利益2,603,695千円であり、支出の主な内訳は、金融債権の増加額5,266,122千円、その他の資産の増加額3,308,271千円。
投資キャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動の結果、使用した資金は1,618,152千円円(前連結会計年度は705,730千円の支出)。支出の主な内訳は、有形固定資産の取得による支出692,107千円、差入保証金の差入による支出522,499千円、無形資産の取得による支出282,117千円。
財務活動キャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動の結果、獲得した資金は2,966,681千円(前連結会計年度は1,562,782千円の収入)。収入の主な内訳は、短期借入金の借入による収入48,978,145千円、長期借入金の借入による収入11,045,533千円であり、支出の主な内訳は、短期借入金の返済による支出50,867,974千円、長期借入金の返済による支出3,801,030千円。
次に今後の見通しについてみていきます。
翌連結会計年度(2020年4月1日~2021年3月31日)は新型コロナウイルス感染症の影響で外出禁止、都市封鎖、工場稼働停止などの対応が世界的に広がり経済活動が制限されており、先行きは不透明な状況です。日本経済についても、訪日外国人の減少や外出自粛等の経済活動の制限により、大幅な景気落ち込みが想定されております。
こうした厳しい経済環境の中ですが、当社グループにおきましては、今般のコロナ禍を機に、紙を使用した業務行程を廃し、営業活動や契約手続きの更なる効率化を進めていきたいと考えております。またリモートワークの推進やサテライトオフィスの活用を通じて、既存の出勤形態に捉われない、新しい業務運営を目指してまいります。
さらに、次期から中期経営計画「VALUE UP↗2023」が始動いたします。当社の「世界中の人々に最高のファイナンスとサービスを提供する」というミッションの実現に向け、「ファイナンス分野の増強」「故障保証の市場拡大」「オートモビリティサービスの拡充」「販売店・整備工場のネットワーク構築」という4つの戦略を軸に、変化の激しいモビリティ業界に柔軟に対応し、さらなる成長に向け取組んでまいります。
2021年3月期の連結業績予想につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大が業績に与える影響の不確実性が高く、現段階において合理的に算定することが困難であることから未定としております。今後、連結業績予想の算定が可能になった時点で、速やかに開示いたします。(決算短信原文まま)
決算資料を読む限り、良好な決算だったように思えます。
しかしながら、決算短信を読むと、これについてはいくつかからくりがあるようです。
①国内事業については、「日本国内における流行が2020年3月以降であったため、当事業年度における新型コロナウイルス感染症による影響は僅少」であったこと。
②これまで信用保険による補填を別個の資産として計上していなかったが、信用保険契約の変更及び社内管理体制の強化等を進めた結果、当連結会計年度より信用保険によって補填を受けることがほぼ確実と見込まれる金額を「保険資産」として計上。その結果、当連結会計年度にその他の収益として2,080,841千円を計上したこと。
上記の2点により、収益がそれほど悪くなかったものと思われます。つまり、今後は国内事業において影響が出ること、その他収益の計上による成長が無くなることを考慮しておく必要があります。
また、前回の決算の時にも記載いたしましたが、営業キャッシュフローがマイナスなのは気になります。
現金及び現金同等物が6,285,647千円あるとはいえ、これは銀行等からの借り入れによるものが多く、いずれは返済しなければならないものです。
自己資本比率が昨年は39.0%であったのに対し、今期は29.6%と10%近く減少していることから、今後営業キャッシュフローがプラスにならなければ、資金繰りが大いに難しくなる可能性があります。
週明けの市場は、決算の数字を好感するか、それともコロナ等に対する悪材料が今後出る可能性があるとして、下げるのか要注目ですね。
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