パーソルホールディングス(2181)の決算資料をまとめてみた

8月12日発表のパーソルホールディングス(2181)の決算資料を1~2分で読めるようにまとめてみました。

まずはサマリーから。(単位は百万円)

2021年3月期第一四半期
売上高:238222(前年同期比+1.3%)
営業利益:9115(前年同期比−9.4%)
経常利益:9173(前年同期比−11.5%)
純利益:4670(前年同期比−14.6%)

自己資本比率41.8%(2020年3月期39.9%)

2021年3月期配当状況:未定

以下、決算短信より抜粋

(1)経営成績に関する説明
①経営成績に関する分析
当社グループは、日本国内及びアジア・パシフィック(APAC)地域で、人材派遣及び人材紹介を主力として幅広く人材関連サービスを提供しております。
当第1四半期連結累計期間では、新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的拡大による社会活動や経済活動の停滞により、人材市場もグローバルに影響を受け、日本国内の2020年6月の有効求人倍率は1.11倍と、急速に低下致しました。
当社においても、COVID-19の拡大により、人材紹介事業で、企業の人件費を抑制する動き等の影響を受けております。また、APAC地域では、COVID-19拡大の程度や対策は各地域で異なりますが、当第1四半期連結累計期間(海外子会社は2020年1月~3月に該当)では主に中国での事業が大きく影響を受けました。加えて、豪州においては、前連結会計年度に続き豪ドル安が進みました。
このような厳しい事業環境であったことから、主力であるStaffing SBUとProfessional Outsourcing SBUは売上成長を実現できたものの、これら以外のセグメントの売上は減少した結果、売上高は前年同期並の238,222百万円(前年同期比1.3%増)となりました。一方、利益面では、Staffing SBUとProfessional Outsourcing SBUで増益となりましたが、収益性の高い人材紹介事業を展開するCareer SBUで、COVID-19の影響を大きく受けて大幅な減益となったことから、営業利益は9,115百万円(同9.4%減)となりました。また、経常利益は9,173百万円(同11.5%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は4,670百万円(14.6%減)となりました。
セグメントの業績(セグメント間内部取引消去前)は次のとおりであります。
なお、当第1四半期連結累計期間より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同四半期比較については、前年同四半期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。

a. Staffing SBU
本セグメントは国内で事務領域を中心に幅広い業種に対応した人材派遣事業に加え、受託請負のBPO事業、事務職を中心として人材紹介事業等を展開しています。
当第1四半期連結累計期間における売上高は、130,678百万円(前年同期比6.9%増)、営業利益は、8,921百万円(同53.2%増)となりました。
売上高は、人材派遣事業では、稼働日が前年同期より2日増加したことに加え、事務領域派遣における稼働者数の増加、また同一労働同一賃金の対応等で請求単価が上昇した結果、増収となりました。また、BPO事業においても受託する案件が増加し、増収となっております。営業利益は、増収効果及びBPO領域で採算が改善した結果、増益となりました。

b. Career SBU
本セグメントは、顧客企業の正社員の中途採用活動を支援する人材紹介事業、求人メディア事業等を展開しています。
当第1四半期連結累計期間における売上高は、16,827百万円(前年同期比28.5%減)、営業利益は、1,505百万円(同68.0%減)となりました。
売上高は、主に人材紹介事業で、COVID-19拡大の影響により企業の採用活動を抑制した影響を受けたこと、また「an」事業の終了(2019年11月)により減収となりました。営業利益は、マーケティング費等のコスト削減努力をしてまいりましたが、減収により、大幅な減益となりました。

c. Professional Outsourcing SBU
本セグメントは、IT領域やエンジニアリング領域の製造・開発受託請負事業や技術者を専門とした人材派遣事業を展開しています。
当第1四半期連結累計期間における売上高は、26,415百万円(前年同期比10.0%増)、営業利益は、315百万円(同16.0%増)となりました。
売上高は、エンジニアリング領域でCOVID-19拡大により企業の開発投資を抑える動きが見られ稼働率が低下する等の影響受けながらも、前年同期並みの売上を維持し、IT領域では受託請負事業が堅調に推移したことで増収となった結果、全体の売上高は増加いたしました。利益面は、新卒の採用をはじめ技術者の人員拡充を行ったことで、人件費が増加しましたが、増収によりこれらの費用増加を吸収したことやコストの削減により増益となりました。

d. Solution SBU
本セグメントは、人材採用、人材管理などのデジタルソリューションサービスの提供やインキュベーションプログラムを通じた新規事業の創出をおこなっております。
当第1四半期連結累計期間における売上高は、952百万円(前年同期比29.5%減)、営業損失は、1,437百万円(前年同期は営業損失299百万円)となりました。
売上高は、COVID-19拡大により企業の人件費・採用費を削減する動きが見られたことや、飲食店に休業要請がなされたことで減収となり、その結果、営業損失を計上しました。

e. Asia Pacific SBU
本セグメントは、アジア・パシフィック(APAC)地域で人材派遣事業や人材紹介事業、豪州においては人材関連事業及びメンテナンス事業を展開しております。(アジア地域では主にPERSOLKELLY、豪州では主にPROGRAMMEDのブランドで事業を運営しております。)
当第1四半期連結累計期間における売上高は、65,980百万円(前年同期比1.5%減)、営業損失は、116百万円(前年同期は営業損失156百万円)となりました。
売上高は、シンガポールで人材派遣事業が伸長したことに加え、豪州では景気影響を受けにくいメンテナンス事業が堅調に推移したことにより現地通貨ベースでは増収となりましたが、豪ドル安の影響を受けた結果、減収となりました。営業利益は、主に日系企業へ人材紹介事業を展開している中国でCOVID-19拡大の影響を大きく受けたことに加え、豪州においてリストラ費用を計上した結果、営業損失となりました。

②新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響について
日本では5月下旬に緊急事態宣言が解除されたものの、7月から再び首都圏を中心に感染者が増加しており、第2波への懸念から先行き不透明感が強まっております。海外では、当社が事業を展開するAPAC地域の一部地域で感染拡大や、政府による外出制限等の規制が続いております。
当社グループの国内事業につきましては、人材派遣事業では、マーケティング領域において、店舗の営業時間短縮や人員の削減等の影響を受け、稼働率や稼働時間が減少している一方、主力の事務領域は、緊急事態宣言解除後、通常通りの稼働状況に戻っております。また、BPO領域では、新規案件の需要が増加しております。人材紹介事業では、現在、大半のカウンセリング面談や面接が対面式からオンラインへ切り替わっておりますが、企業の人員計画見直しや人件費を抑制する動き等により、採用決定までの時間の長期化や、採用見送り等といった影響を大きく受けております。
海外事業につきましては、各国毎に状況は異なりますが、アジア地域では、シンガポール、マレーシア、香港等での人材派遣事業は在宅勤務が行われており、全般的に安定しております。一方、人材紹介事業は、COVID-19拡大による一時的な人材需要の減退傾向が見られ、採用の見送り等の影響を受けております。豪州・ニュージーランドでも、COVID-19拡大による経済停滞のため、スタッフィング事業は稼働人数減少等の影響を受け、メンテナンス事業も案件の減少等の影響を受けております。

(2)財政状態に関する説明
① 資産、負債及び純資産の状況
総資産は前連結会計年度末に比べ30,062百万円の減少となりました。流動資産は20,807百万円減少し、固定資産は9,255百万円減少となりました。流動資産の主な減少要因は現金及び預金が14,808百万円減少したこと等であります。固定資産の主な減少要因は、のれんが5,521百万円、繰延税金資産が2,575百万円減少したこと等であります。

負債は前連結会計年度末に比べ24,648百万円の減少となりました。流動負債は13,748百万円減少し、固定負債は10,899百万円減少となりました。流動負債の主な減少要因は、1年内償還予定の社債が10,000百万円増加した一方、1年内返済予定の長期借入金が10,000百万円、賞与引当金が6,029百万円及び未払法人税等が5,545百万円減少したこと等であります。固定負債の主な減少要因は、社債が10,000百万円減少したこと等であります。

純資産は前連結会計年度末に比べ5,413百万円減少となりました。これは主に剰余金の配当3,474百万円の支払、親会社株主に帰属する四半期純利益4,670百万円の計上等により、利益剰余金が1,196百万円増加した一方、為替換算調整勘定が7,804百万円減少したこと等によるものであります。

(3)連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
2020年5月に公表いたしました2020年3月期決算短信では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の程度や範囲、実体経済への影響や回復の時期等が合理的に想定できず、通期業績予想は未定とし、2021年3月期第1四半期の売上高と営業利益予想のみ、レンジ形式で開示をしておりました。
8月12日現在も先行きの不透明感は残存しておりますが、日本国内では、緊急事態宣言解除以降、徐々に企業の人材採用ニーズは回復基調にあることから、足許の状況を踏まえ、期末に向けて回復していくことを前提とし、またAPAC地域においても、一部地域を除いて概ね国内同様、期末に向けて回復していくことを前提として、2021年3月期の連結業績予想をレンジ形式で開示いたします。再度のCOVID-19感染拡大影響等により、今後の市況や業績動向を踏まえ修正が必要と判断される場合には、速やかに開示いたします。

決算資料を読んでの考察
決算資料を読む限り、まずまずだったように思います。
結果としては減益となりましが、経常利益は9173百万円と市場コンセンサスの1800百万円を大きく上回りました。

今回、業績を最も支えたのがStaffing SBUですが、これは「稼働日が前年同期より2日増加したことに加え、事務領域派遣における稼働者数の増加、また同一労働同一賃金の対応等で請求単価が上昇した結果」とのことです。
そのため、事業が拡大しているというよりは、カレンダー要素及び社会の変化による要因が貢献したようです。

しかしながら、企業の経常利益は前期比で11.5%減少しているおり、ニュースではこのことが悪決算として取り上げられ、投げ売りが一定程度発生する可能性があります。
特にアルゴリズムによる機械的な売りが発生することがあるため、株の売買においては、トレンドを見てからインした方がよさそうです。

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